今年の正月、たまたまBS放送を見ていたら、伊藤忠商事の元社長の丹羽宇一郎氏が出ていて、司会は、経済評論家の財部誠一氏、番組も終わりかけていましたが、心に残る言葉がありましたので、少しご紹介したいと思います。(早速、2冊ほど著書を買い込みました)
ひとつは、読書だけでは、駄目なんだ、(丹羽社長は、実家が町の本屋さんということもあって、無類の読書家だそうです)「サムシンググレート」が大切だと言っていました。すなわち、ビジネスは不確定のものだから、ビジネスマンは、それを確率の高いものにしようとして「読書」とか「研修」等で未経験の知識を得ようとします。しかし、ビジネスは教科書どおりに行かないから、どんなに努力しても上手くいかないことが少なくありません。そんな時に、自分以外の何かに頼るほうが心身が持ちこたえられる、それは、宗教でも、石でも、木でも、神でも仏でも何でもいい。自分以外のなにか、いわゆるサムシンググレートでいい、それでないとビジネスマンは、体を壊してしまう。
これは、丹羽元社長がアメリカで大豆の買い付けをして、会社の税引き後利益くらいの含み損を抱えたときに、こんなに努力しているのに「神も仏もいないのか」と思ったそうです。その後、天候が急変して、その含み損は解消して、利益計上ができたといっていましたが、その6ヶ月間は、大変な苦しみを味わったそうです。
その時のことを、その著書の中でこう書いています。
「私は、もともろ無神論者ですが、このときばかりは神の存在を感じないわけにはいきませんでした。なるほど誰かが自分の努力を見ている。そして努力を続けていれば、最後には、必ず報われる。こう考えるようになったのです。
もちろん、客観的にデータ分析していたわけですから、含み損を取り戻せたのは、当然の帰結だと思う人もいるかもしれません。しかし、人間の心は、弱いものです。「神も仏もいないのか」と思うほどの苦労を味わったとき、さらに努力を重ねるのは並大抵のことではありません。
そんなとき、宗教を信じるかどうかは別として、誰かが必ず見ているんだと思って努力を続けたほうが、自分の心を納得させやすいのは事実でしょう。生きて行く上で、そう考えた方が説明のつくこともあります。
私の解釈を言えば、神とは自分以外のすべてです。すべての人が自分を見ている。そう信じて一生懸命やっていくことで、人間は強くなっていくものだと思います。」
もうひとつは、「聖人君子が社長になったわけではないが、社長の職にいる時は、クリーン、オネスト、ビューティフルを心がけなさい」とも言っていました。しかし、これは、中小零細企業の社長(私も中小零細企業の経営者の端くれです)から言わせてもらうと、大企業の社長は、任期があって比較的短期間で交替になりますが、我々、中小企業は、ひとたび社長になると一般的には、世代交替するまでずっと社長です。したがって、長期間になります。その間、ずっと聖人君子でいるということは、ちょっと肩が凝るような気がしないわけではありません。
辛口カレーが食べたくなった時には、「人は仕事で磨かれる」文芸春秋より1300円お勧めです。スパイスが良く効いています。
初版 2008/4/24
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