今回、またまた、京セラの稲盛和夫名誉会長の書著「実学」より抜粋させていただきたいと思います。この本は、初版が1998年ですから、10年経っていますが、私は経営本として、名著の一冊にあげたいと思います。既に、この生駒会計ニュースで2、3回はご紹介させていただきましたが、今回は、少し趣向を変えてみました。
実は、この本の第2部は、稲盛和夫名誉会長が中堅企業の若手経営者を対象とする勉強会「盛和塾」で、塾生の質問に答える形式で書かれています。非常にためになると思いますので、少しご紹介します。
今回は、中小企業の経営に欠かすことができない「借入金」についての考え方です。
<質問>「当社は、運送業を営んでいます。借入金の削減が重要な課題であると考えますが、工場設備の追加投資が必要であり、借入金がさらに増大する見込みです。拡大方針を続けていけば、借入金は返済できても、新規の案件が次々に発生するため、そう簡単に借金体質から脱皮できそうにありません。このような状況の下で、これまでの路線でさらに拡大を続けて行くべきか、それともいったん戦線整理を図って経営体質の強化を主眼とすべきか、その選択が大きな岐路となるのではないかと考えております。生き残りを賭けて何をなすべきかお教え願います。」
稲盛和夫名誉会長の答えはこうです。
<回答>
「金利はもちろん税金もすべて払った後に残る税引後利益と現在の償却とをあわせたもので返済ができる範囲で設備投資の借り入れをするのが原則です。しかし、借金を増やして事業を拡大することが不安で仕方がない、借金はとにかく早く返したいと思うのは、非常に大事なことです。私が経営というものに初めて取り組んだころ、支援していただいた方が、自分の家屋敷を担保に、銀行から1千万円借り入れてくださいました。私は、それを何とかして早く返済しようと必死になっていました。するとその方から「償却負担と金利の負担に耐え、事業を拡大するのが事業家というものだ。元本の返済は償却でやっていけばいい」と言われたことがあります。
私の場合は、それでも借金はイヤで懸命に返済していったのですが、その方は、あきれて、私のことを「所詮いい技術屋であっても、いい経営者にはなれない」とまで言われました。しかし、私は、借金の心配をせず土俵の真ん中で思い切って相撲をとるということがどうしてもやりたかったのです。そして、幸いその後、借金をしないで事業を拡大するという経営ができるようになりました。」
借入金は、事業拡大するうえで必要不可欠なものかもしれません。また、銀行さんとの取引実績等も大事でしょう。しかし、あまりにも安易に借入をしていませんか?借入金が多額になると、土俵の外に押し出されてしまいます。
平成20年5月25日 税理士 生駒学
初版 2008/9/8
15:39
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