「つぼ八」

「つぼ八」という居酒屋をご存知でしょうか?
創業者の石井誠二氏が、中学卒業後、工員、行商、バーテンなどを遍歴した後、昭和48年、30歳の時に、夫人と二人で札幌に店開きした広さ八坪の一杯飲み屋(「つぼ八」という屋号もここから生まれた)です。わずか10年たらずで50店舗のフランチャイズに成長し、その後、商社イトマンとの業務提携で全国432店舗、年商500億円という日本最大級の居酒屋チェーンにまで育て上げました。しかし、その後、イトマンに経営権を乗っ取られ、社長の座を追われました。イトマンは、平和相銀、許永中、金屏風事件とバブル時代に主人公になった商社です。
ところで、あのワタミの渡邊美樹社長が、「つぼ八」の石井誠二氏の下で修行をしたのは有名な話です。渡邊美樹社長は、「わたしは石井さんからチャンスをもらったし、そういう人生観を教わった。だから石井さんには足を向けて寝られない。この世の中でたった一人、石井さんだけですよ、わたしが素直に全面服従する気持ちになるのは・・・」とおっしゃっています。
この石井氏の凄いところは、居酒屋「つぼハ」を全国チェーン展開させたのもさることながら、イトマンに乗っ取られた後、いったん身を引いてゴルフ三昧に明け暮れていましたが、もう一度、46歳の時に、現場に戻って包丁を握っている、しかも、「八百八町」、「ひもの屋」、「かたりべ」など、現在80店舗を展開している。この不屈の闘志には脱帽です。
この石井社長は、行商をしていた経験から商売の原点は、「買い場発想」と言っています。すなわち、「買い場発想」とは、常に相手の立場で物事を考え、そして行動する信条のことで、常にお客様の立場に立って、提供する物やサービスを考え、そして、買ってくれる人に、よろこばれる品物を提供して、お互いがハッピーになるということです。
恐らく、行商をしていたら、常にお客様と対面で、話をしながら、顔色をみながら売り歩くのですから、お客様に喜んでいただけるためには、何をしなければいけないか、また、どうしたらいいかということが、自然に、身についていったのだと思います。私は、加ト吉の加藤元社長の本は読んでいませんが、加ト吉の加藤元社長も行商からスタートと聞いています。なにかしら、通じるものがあるのかもしれません。
その理念を明確にしたものが、「凡事徹底十か条」です。その中から抜粋して紹介します。
4条 常にお客様は一人も来ないと思え!そう考えたならば、一歩進んで自分の姿を商品にできるかだ。自動販売機ではない。「原価のかからないサービス」で人間力を発揮せよ。サービスが商品だ!
5条 お金の入り口は一つ、お客様のみだ。自分、仲間の存在理由は、お客様のためにのみにある。「客」でもなければ「お客さん」でもない、「お客様」だ。
10条 挨拶、返事、後始末、掃除に、報連相(報告・連絡・相談)。これら当たり前のことを自覚して、非凡にやり遂げよ。平凡にやらないことが自分のやり方、生き方だ。仕事と思うな!人生そのものと思え!
※「すぐにできることを『3倍』やりなさい!」石井誠二著より
再度、脱帽。
平成21年2月24日税理士 生駒 学












