【会長の独り言】安心してください。やってますよ! byとにかく元気な生駒より(その弐)~令和5年度税制改正 相続税、贈与税の一体課税とは~
今月は税金の話です。10月1日スタートのインボイス制度、初めての制度です。非常に頭を悩ませます。既に、課税事業者の方は、適格請求書(インボイス)登録事業者の届出は提出済みかと思いますが、まだの方は9月30日までです。提出忘れのないようによろしくお願いします。大事なことを一つ。課税事業者の方は、10月1日より自動的にインボイスが発行できるわけではありません。課税事業者でかつインボイス登録事業者の方がインボイスを発行することができますので、そのあたりお間違えのないようによろしくお願いします。
さて、今回は、相続税、贈与税の一体課税についてです。毎年のように税制改正の議題に上がってきましたが、令和5年度税制改正で一応の結論が出ました。皆様もよくご存じのように、年間110万円までは無税で贈与が可能です。この制度を「暦年制度」と言います。但し、相続又は遺贈により財産を取得した者は相続開始前3年以内の贈与財産は相続財産に取り込まれます。今回の改正で、贈与で受けた財産を相続財産に加算する期間が、相続開始前3年以内から相続開始前7年以内に延長されました。すなわち、生前に親から子供に財産を贈与しても相続財産に組み込まれてしまい相続税対策が無意味になります。その期間が7年に延長になりました。答えはひとつ。贈与するのであれば早く贈与してください。また、加算期間が7年に延長されたため「贈与契約書」等の疏明資料が今まで以上に大切になると思います。(但し、延長された4年間に受けた贈与財産のうち総額100万円までは相続財産に加算されません。ややこしいです。今理解しなくてもいいです。)適用時期は令和6年1月1日以後の贈与により取得する財産にかかる相続税について適用されます。
もう一つの改正が相続時精算課税制度の改正です。相続時精算課税制度は60歳以上の父母、祖父母から18歳以上の直系の子や孫に2,500万円の範囲内であれば、贈与時は贈与税がかからずに贈与ができる制度です。ここで皆様の疑問、「贈与は1年間110万円までが無税でなかったの?」そうです。先程ご説明した暦年課税制度は1年間110万円までが非課税だったのですが、相続時精算課税制度を選択した場合には総額2,500万円までが非課税という制度です。但し、相続時精算課税制度の少しややこしいところは、贈与時は2,500万円の範囲内であれば贈与税の負担なしに贈与が可能ですが、贈与者(例えば、お父さん)に相続が発生した場合には、既に、贈与は成立していますが、贈与者(お父さん)の相続財産とみなして相続税の計算をしなければなりません。「えっ、贈与時は贈与税がかからないのに、相続時に相続税がかかるのでは意味ないじゃん」と思われる方もいらっしゃると思いますが、相続時精算課税制度を利用した相続税対策もあります。ご関心がある方は、是非、生駒会計までお問い合わせ下さい。また、相続時精算課税制度の欠点は、相続時精算課税制度を選択すると暦年課税制度を利用することができません。いずれかの選択です。
ただし、今回の改正で使いやすくなりました。相続時精算課税制度を選択しても相続時精算課税制度として110万円控除できるようになったのです。すなわち、相続時精算課税制度を選択してお父さんから1,000万円の贈与を受けたとします。ただし、110万円は贈与時、相続時とも1,000万円でカウントするのではなく、1,000万円から110万円を控除した890万円を加算すればいいことなりました。これも令和6年1月1日からの適用です。他にも改正点がありますが、紙面の都合上、詳細はパンフレットを同封しますのでご確認下さい。