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【専務の独り言(第2回)】月次決算書の活用をしていますか?(後編)

 

  今月は前回に引き続き未来会計図表についてお話しします。月次監査でお客さまを訪問した際に、あといくら売れば昨年同様の利益になるか、借入金の返済が始まるが返済原資を確保するにはいくら売上が必要か、損益トントンにするにはどうすれば良いかなどのご相談があります。そのご相談にお答えするため変動損益計算書が必要となります。具体的な数字を用いて見ていきたいと思います。

 売上高100,000円、変動費60,000円(変動費率60%)、粗利益40,000円(粗利益率40%)、固定費30,000円であれば利益が10,000円となります。

 ここからが応用で利益を20,000円に上げようとすると売上高はいくら必要となりますか?多くの社長様は売上100,000円で利益が10,000円なら倍の200,000円とお答えになります。よく考えてみてください。固定費は売上金額に関係なくかかる経費となりますので(固定費30,000円+利益20,000円)÷粗利益40%=125,000円となり売上高を25%増加させれば利益を2倍確保することが出来ることになります。

 損益トントンにするには(固定費30,000円+利益0円)÷40%=75,000円を稼げばOKです。計算上では75,000円以上売上げた金額が利益として残ることになります。

 借入金の返済原資についても同様です。(固定費+返済元金+目標利益)÷粗利益率でいくら稼げば良いかがわかります。注意すべき点としてはこの計上された利益には30%前後の法人税がかかりますので実際の借入金返済原資には法人税率を割戻した税引き後の資金を考慮する必要があります。

 従って、変動損益計算書を作成することができれば将来稼ぐべき売上高を利益から逆算することが容易となり、経営計画を策定するときにも役立ちます。根拠なく対前年比〇〇%売上を目標としても社員たちのやる気には繋がりません。「目標利益と給料アップするためには、どの程度の売上高を目標とすれば実現できる」という根拠をもって、一人一人の売上意識を高めていくことが重要です。

 それでは、利益はどのくらい確保しなければならないのか? 会社によって必要な利益は様々ではありますが、弊社の未来会計図表では経常利益率が粗利益率の10%を目標値、粗利益の20%を理想値としています。上記に記載した会社ですと粗利益率が40%ですので目標経常利益率は4%、理想経常利益率は8%となります。売上高が100,000円なので4,000円が目標です。ただ、業種等によりこの率も増減しますので経常利益率が目標である4%に満たなかったとしてもダメという訳ではありません。

 最後に価格と量の戦略についてお話しようと思います。粗利益率が高い業種とそうでない業種とでは取るべき戦略も違ってきます。利益率の高い製造業などの場合は、量の戦略が大切になります。ある程度の利益率を確保できていれば、数量を増やすことによって利益を増やす戦略が有効となります。一方で卸売業・小売業といった粗利益率が低い業種の場合、まず価格の戦略を取ることが重要となります。付加価値をあげて単価をあげればどうなるか、又は変動費を下げられないかを考えることで利益の確保を目指します。卸売業、小売業は販売量が必然と多くなり、売上金額も大きくなりますので変動費を1%でも削減できれば、すぐに利益が数百万円変化してきます。

 価格の戦略は交渉が必要となるケースが多く難易度は高めですが、数量の戦略であれば自己でコントロールができます。

 このように月次決算書を使って経営の意思決定に役立てれば取るべき戦略が見えてきます。今回、少しでも月次決算書に興味を持たれた方はいつでもお待ちしておりますので生駒会計へご相談ください。

 

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