2018年3月24日 助成金・補助金
IT(ソフトウェアやシステムなど)を使った業務の効率化や生産性の向上などが昨今注目され、働き方改革の一環としても取り上げられています。
しかし、中小企業の中にはITに詳しい人が社内におらず、どこから手を付ければ良いのか分からなかったり、多額の費用が足かせとなったりして、IT化がスムーズに進まないという声もよく耳にします。
そんな方におすすめしたいのが『IT導入補助金』です。ここでは、費用を補助してくれるIT導入補助金について、まず何から導入すればよいか、どうやって手続きをして活用すればよいかをご紹介します。
目次
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者が生産性の向上を図ることを目的とし、ITツール(ハードは除く)を導入する場合、経費のうち最大50万円の補助金が受け取れるというものです。経済産業省が主管し、正式には「サービス等生産性向上IT導入支援事業」という名前がついています。 平成29年に行う事業について実施されましたが平成30年に行う事業についても実施されることとなりました。 レジなどのPOSシステムや会計・顧客管理ソフト、書類を電子化したいと思ったときに、この補助金を活用することで経費の負担を軽くできます。
平成29年度補正のIT導入補助金は、補助してくれる金額が最低15万円、最大50万円、購入金額の2分の1となっています。
平成28年度補正 | 平成29年度補正 | |
---|---|---|
補助額 | 30万円~100万円 | 15万円~50万円 |
補助率 | 2/3 | 1/2 |
予算 | 100億円 | 500億円 |
平成28年度補正は100憶円の予算で最大100万円の補助金額だったのに対して、平成29年度補正予算では500億円の予算で最大50万円です。予算が5倍に増額され、補助金の上限が1/2になったわけですから、大幅に採択される中小企業の数が増えることが伺えます。
なお、28年度補正では全国で14,301件の採択があり、地方でも多くの採択がされています。
IT導入補助金の対象となる中小企業は以下の表を満たす事業者になっています。例えば、製造業では資本金が3億円以下または常時働く従業員が300人以下である法人・個人事業主であればIT導入補助金を受けられます。
業種・組織形態 | 資本金 | 従業員 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 | 3億円 | 300人 |
卸売業 | 1億円 | 100人 |
サービス業 (ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く) |
5,000万円 | 100人 |
小売業 | 5,000万円 | 50人 |
ゴム製品製造業 (自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く) |
3億円 | 900人 |
ソフトウェア業又は情報処理サービス業 | 3億円 | 300人 |
旅館業 | 5,000万円 | 200人 |
その他の業種(上記以外) | 3億円 | 300人 |
企業組合、協業組合、事業協同組合、事業協同小組合、協同組合連合会、商工組合、商工組合連合会、商店街振興組合、商店街振興組合連合会 等
医療法人、社会福祉法人(注1)
特定非営利活動法人(注2)
注1.資本金・従業員規模の一方がサービス業に記載の数値以下のもの
注2.資本金・従業員規模の一方が法人の主たる業種に記載の数値以下のもの。
※ 上記の表及び注1、注2に該当しない者は対象となりません。例えば、財団法人(公益、一般)、社団法人(公益・一般)は対象となりません。
※ 大企業が大部分の株式を所有しているなど該当しない場合があります。
どのようなものが生産性の向上や効率化になるかは、業種によって変わってきます。目安として、よく使用される例を以下の表に示していますが、その業種だからといってすべての会社に当てはまるわけではありません。今まで培った経験や会社の文化によって、ITに頼らない方が早いということもあるからです。だからこそ、自社で導入することによる費用対効果を考えるようにしましょう。
しかし、上の表を参考にしても、自社に導入すべき具体的なIT施策が分からないという方も多いと思います。まずは複数メーカーを扱っているITベンダー(業者)に相談し、提案を依頼しましょう。何社か比較しながら、将来までサポートしていたただける信頼できるITベンダー(業者)を見つけ、そのような業者に費用対効果を検証して貰うのが一番よい方法と言えます。
IT導入支援事業者が登録するITツールが補助金の対象となります。生産性が向上するITツール(ソフト・サービス)であることを事前に登録されているもので、ホームページから誰でもIT導入支援事業者やITツールを検索できます。なお、パソコン本体やサーバー本体などのハード部分に関しては、補助金対象から除かれることになっています。
また、次のような経費もIT導入補助金の対象に含まれることになりますので、幅広い分野で活用できることが分かります。
2017年のIT導入補助金における対象事業は、2つ以上の機能が備わっているか、フロント業務・ミドル業務・バックオフィス業務のうち2つ以上を組み合わさっているもので、生産性の伸び率が条件を満たすものでした。
実際のところ審査に通るかどうかになりますので、まずはITベンダー(業者)に対象ソフトであるかを確認することをお勧めいたします。
まずは自らの会社において効率化できるところはどこかを検討した上で、費用対効果を検討することが重要です。
自社の業務で効率の悪いところはどこかをきちんと検討して、それが分かれば効率の上がる対象のITツールを探します。導入によってどれだけの作業が削減し、いくらの経費が削減できたり売り上げが上がったりするかを考えて、費用対効果を検討します。
自社の経験によって生み出されたやり方があって、ITより経験の方が勝る場合もありますので、必ず自社に当てはめて検討しましょう。また、ITの世界はいくらでもできるエンドレスの世界です。どこまでIT化するのかをよく見極める必要があります。
平成30年3月1日現在、まだ具体的に平成29年度補正の申請方法は決まっていませんが、平成28年度補正のときも三次公募まであり、同様に平成29年度も三次公募まで募集される予定です。ここでは平成28年度補正のときの流れをご紹介いたします。
まずはITベンダー(業者)・ITツール(対象ソフト)を選ぶことから始まります。決定すればそのITベンダー(業者)に申請の依頼をします。計画書を作成して交付の申請を行ってもらい、審査が通れば発注・導入して支払いとなります。その後ではじめて補助金が交付されます。
自社で行う大きな役割は、事業計画書を作成することです。事業計画書は将来における生産性の伸び率の目標を決めるとともに、どのようにしてITツールを活用していくかを記載します。事業計画書の労働生産性は
にて算出します。なお労働生産性がITツールを導入する事業によって、3年後に1%以上、4年後に1.5%以上、5年後に2%以上の伸び率である必要があります。
補助金採択の審査は、基本的に地域や業種等による影響はありませんので、計画書とITツールの内容が重要になってきます。ただし、平成29年度補正の審査に関しては固定資産税の減免ゼロを宣言している自治体が優遇されることになっています。
IT導入補助金を利用すればお得にITツールを導入できます。しかし、ITベンダーは必要のないものを売ってくるかもしれません。自社に必要なものをきちんと見極めて投資をすることが大切です。
IT導入補助金以外にも活用できる補助金はいくつか用意されています。代表的なものとして日本商工会議所の小規模事業者持続化補助金などがありますので、よく検討されることをお勧めします。もし補助金の対象にならなくても、労働環境の改善などで、違う分野の補助金が使えるかもしれません。
また、IT導入補助金を利用することによって補助金の額を費用や経費に計上できる『圧縮記帳』を受けられる場合があります。IT導入補助金などの補助金制度だけでなく、経営力向上計画を出すことによって税金がお得になる制度もあります。いずれにしても、何かを導入・購入される前に税理士と相談しておくと思わぬ特典が受けられるかもしれません。
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