2018年12月18日 税務

配偶者控除はパート労働者の働く時間や年収を抑える要因になっていました。本当はもう少し働きたいが扶養の関係でここまでしか働けないといったことは、どの職場でもあるのではないでしょうか。
人口が減少し、労働者数も減少する中で何とか経済力を維持するには、働きたくても扶養の関係で働けない女性の労働力確保が焦点となりました。
一時は配偶者控除を廃止して夫婦控除を新設するという案も出ましたが、配偶者控除が適用される金額を拡大するという方向で調整されました。
ここでは、配偶者控除の改正で何がどのように変わるのか、詳しくご説明していきます。

控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、次の四つの要件の全てに当てはまる人です。
2018年の税制改正では配偶者控除、配偶者特別控除の見直しが行われ、本人の年収額に応じて段階的に控除額が減少するようになります。(2017年までは本人の年収がいくらであっても配偶者の年収が103万円以下であれば38万円の配偶者控除を受けられました。)詳しくは下図をご参照ください。
出典:財務省「平成29年度税制改正(案)のポイント」
また、配偶者特別控除はこれまで年収が105万円を超えると、満額である38万円から控除額は徐々に減っていきました。改正後は年収150万円まで満額での控除が受けられるようになり、控除額は徐々に減っていきますが最高で201万6千円未満まで配偶者特別控除を受けられるようになりました。給与所得控除額は次の通りです。
| 居住者の合計所得金額 (給与所得だけの場合の 居住者の給与等の収入金額) |
【参考】
配偶者の収入が給与所得だけの場合の配偶者の給与等の収入金額 |
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| 900万円以下(1,120万円以下) | 900万円超 950万円以下 (1,120万円超1,170万円以下) |
950万円超 1,000万円以下(1,170万円超1,220万円以下) |
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| 配偶者控除 | 配偶者の合計所得金額38万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 | 1,030,000円以下 | |
| 老人控除対象配偶者 | 48万円 | 32万円 | 16万円 | |||
| 配偶者特別控除 | 配偶者の合計所得金額 38万円超 85万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 | 1,030,000円超 1,500,000円以下 |
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| 85万円超90万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 | 1,500,000円超 1,550,000円以下 |
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| 90万円超95万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 | 1,550,000円超 1,600,000円以下 |
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| 95万円超100万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 | 1,600,000円超 1,667,999円以下 |
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| 100万円超105万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 | 1,667,999円超 1,751,999円以下 |
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| 105万円超110万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 | 1,751,999円超 1,831,999円以下 |
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| 110万円超115万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 | 1,831,999円超 1,903,999円以下 |
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| 115万円超120万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 | 1,903,999円超 1,971,999円以下 |
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| 120万円超123万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 | 1,971,999円超 2,015,999円以下 |
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| 123万円超 | 0円 | 0円 | 0円 | 2,015,999円超 | ||
出典:国税庁「源泉所得税改正のあらまし平成29年4月」

年収が103万円を超えても配偶者特別控除は満額の38万円で150万円に達するまでの間も同額です。しかし、150万円を超えると控除額は徐々に減っていきます。この配偶者特別控除が減少し始める収入の150万円のことを『150万円の壁』と言います。配偶者特別控除を最大限に利用するのであれば、できる限り収入を150万円に抑えたいものです。
配偶者が150万円まで働いても満額の38万円控除が受けられるため、以前に比べて制限することなく働くことができます。また、会社側も103万円の収入制限で人材不足に悩まされていた問題も解消されるのではないでしょうか。
なお、150万円の配偶者特別控除は、平成30年1月から開始されます。平成30年1月~12月の配偶者の収入が150万円以下であればその年の年末調整で配偶者特別控除の満額38万控除が適用になります。

これは、『106万円の壁と130万円の壁』と言われるものです。
〇130万円の壁
年収が130万円を超えると配偶者の扶養からはずれ、自身で勤務先の保険に加入することになります。
〇106万円の壁
以下の条件に全て該当すれば、自身で勤務先の保険に加入することになります。
① 週20時間以上
② 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
③ 勤務期間1年以上見込み
④ 501人以上の従業員のいる企業
この壁があることによって年収が上記条件の106万円以上もしくは、130万円から150万円の場合、自身で保険に加入する必要があるため手取り額は年収130万円未満の時より減少する可能性があります。
近年の税制改正は目まぐるしいものがあります。税について知っているか知らないかで将来に大きな差が出てきます。何か疑問を持たれ方や、興味を持たれた方は是非一度ご連絡下さい。お待ちしております。
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