資金繰りとは?資金繰り表の作成と改善

2018年8月8日 融資

「お金がなかなか回っていかない」という声はよく聞きます。そんなとき、改善するためには、黒字にすることが一番重要ですが、それ以外にも資金繰り表を使ったり、資産を売却したりするなど方法がいくつかあります。ここでは、資金繰りとは何か、悪化の原因、改善の方法をご紹介いたします。

資金繰りとは何か?

資金繰りとは会社の経費や仕入、社員の給与などの支払いに対応できるよう「会社に入ってくるお金」と「会社から出ていくお金」の管理を行い、資金の流れをコントロールしていくことです。

黒字の会社でも資金が底をつけば支払いができず、結果、経済活動が出来なくなり倒産します。会社経営者や経理担当者は資金繰りのスキルを身につけ、会社が経済活動を継続できるようにしなければなりません。

資金繰り悪化の原因は

中小企業は7割が赤字経営と言われています。そうであるならば会社に資金が十分あるとは思えません。あるとすれば金融機関からの借入や社長個人からの借入で資金を賄っていることが考えられます。資金繰りが悪化する原因は何でしょうか。

●赤字経営
資金繰り悪化の最大の原因は「赤字経営」「利益の低下」です。全て現金取引が実現したという前提で考えて見てください。売上1,000万円(入金)仕入600万円(出金)人件費500万円(出金)=△100万円となり赤字で資金不足が発生します。

●過大設備投資
商品を生産するための工場の建設や機械装置の導入は、事業をする上で必要不可欠と考えられます。これらは巨額な資金を必要とし、ここで生産した商品を販売して資金を回収しなければなりません。しかし商品が売れなかったらどうでしょう。資金を使っただけで回収できないという結果になります。

●売掛債権の貸し倒れ
商品を顧客に販売し、1か月分の請求書を郵送しましたが一向に入金がありません。電話連絡もとれず、訪問したら夜逃げした後でした。こうした場合、商品を顧客に売り渡していますから商品原価や販売コストがかかってその分資金を使っています。にもかかわらず売上代金が回収できないこととなり大損したことになります。

●過剰在庫
仕入れたり、製造した商品が売れずに大量に残ったとしたらどうでしょうか。仕入れ代金や製造にかかった経費はすでに支払い済みです。これも前述の『過大設備投資』と同様に資金を使っただけで回収できないという結果になります。

●回収期間と支払期間のバランスの悪化
顧客からの入金は手形で180日後、仕入れ先への支払いは翌月払いで30日後だとしてこうした取引をどんどん増やしていたらどうでしょうか。どんどん先に支払が発生して入金はどんどん後回しになり資金不足が長期にわたり額もしだいに大きくなってしまいます。

●過大役員報酬
業績に比して役員報酬が高額な場合も資金繰りを圧迫します。

●借入返済額の増加
業績に対して過剰な借入返済が発生している場合は、資金繰りが悪化します。1年間の返済限度額=減価償却費+税引き後利益ですから、これ以上の返済は資金がショートする原因になります。

●売上の急激な減少
優秀な人材の退職や大口顧客との取引停止、法規制などの社会環境の変化により急激に業績が悪化することも無きにしも非ずです。こうした場合は売上のみが急激に減少し、人件費や設備維持費などの固定費は相変わらず発生し続けるという状態になります。当然の帰結として資金繰りの悪化をもたらします。

●売上の急増
売上の急増と聞けばうれしい悲鳴に思えますが、場合によっては資金繰りを圧迫する結果となります。新規大口顧客との取引で月商1,000万円が2,000万円になったとします。売上原価は500万円から1,000万円に増加します。人も増員し人件費も100万円から200万円に増加します。

しかし新規顧客からの売上入金が3か月後だとしたらどうでしょうか。新規大口顧客との取引を開始してから3か月間は仕入れコストと固定費のみが増加したことになります。その間は売上入金は1,000万円/月ですが、経費の支払いは1,200万円/月発生することとなり資金がショートします。

●資金繰り状況を把握していない
資金繰りの管理をしていなければいつ資金ショートを起こしても不思議ではありません。

 

資金繰りを改善するために必要な事とは

では資金繰りを改善するためにはどのような対策を講ずればいいのでしょうか。上記のように資金繰りが悪化する原因があるのですからその反対をすればいいのです。

●黒字経営を行う
赤字経営から脱出するには「売上を増やす」か「コストを下げる」しかありません。すぐ対策を打てるのは後者です。仕入れ先の見直しや価格交渉、製造原価の見直しといった売上原価率を下げる努力、人員削減や労働時間の短縮、事務用品や交際接待費の見直し等一般管理費(固定費)の削減がその対策となります。コストの削減をしながら時間をかけて新規顧客の開拓や新製品の開発など、売上を増加させる対策を講じていく必要があります。

●収益性が低い資産は売却する
期待した収益を得られなかった設備や株式などは、早期に処分して損失を最小限に留める必要があります。また、他にも稼働せずに所有しているだけの資産は思い切って売却し借入金の返済に充てるべきです。大きな設備投資の場合は入念に市場調査やシミュレーションを行うなど売上の確実性を担保してから設備投資を行うよう心掛けたいところです。

●顧客の与信審査や未払い顧客への回収強化を行う
顧客に対する貸倒れを防ぎ、売上代金の回収を徹底しなければなりません。まず取引開始時に支払能力を測る「与信審査」を実施します。「与信審査」で決めた与信限度額内で取引を行い過度な売掛金が発生しないように管理します。

また、支払いの悪い顧客に対しては定期的に回収の催促を行い「いつ、いくら支払って頂けるのか」具体的な問い合わせをしてプレッシャーを与えます。そうするだけで回収が進むこともあります。売掛金が増えていかないように定期的な回収を徹底する必要があります。

●在庫管理を徹底する
売れない在庫は保管していても保管コストがかかるだけで資金化されません。「在庫一斉セール」「決算大商談会」など何でもいいですから、販売価格を下げてでも処分すべきです。在庫を持つ時は売れ筋商品に限定することで過剰在庫を防ぐことができます。在庫を持たない「受注発注」も仕入れ条件は厳しくなるかもしれませんが一つの改善策です。

●回収は早く、支払いは遅く
支払いが遅い顧客へ回収期間の短縮交渉を行います。相手は顧客で力関係もあるでしょうし、相手も資金繰りに困っているかもしれません。交渉しにくいかもしれませんが、自社が相手にとって必要不可欠の存在であったり、十分な信頼関係を構築できている場合は交渉に応じてくれる可能性も高くなります。

逆に仕入れ先、外注先への自社の支払いを延ばして売上入金のタイミングと合わせてしまえば、資金繰り悪化は防止できます。

●役員報酬の適正化
役員報酬は基本的に一年ごとにしか見直すことができませんが、業績に応じた適正な水準に収める必要があります。

●借入返済額の見直し
「1年間の返済額>減価償却費+税引き後純利益」で資金繰りが悪化しますので「1年間の返済額<減価償却費+税引き後純利益」とできないか検討します。借換え等で返済期間の延長や返済額の減額ができれば資金繰りの悪化も食い止めることができます。

●営業・販売の強化や固定費の引き下げを行う
売上の大半を大口顧客に頼っていると取引が途絶えた場合、会社が傾くことになります。営業力の強化で新規顧客の開拓や客単価の引上げ等が必要です。また、売上の減少が一時的なものではなく恒常的なものであった場合には、固定費の見直しをして適正な状態にスリム化することも必要です。

●大口受注前に資金繰り計画を見直す
大口受注のように売上入金よりも先に仕入れ代金等大きな資金が必要となる場合には、金融機関につなぎ融資を依頼したり、顧客に支払いの早期化を依頼したりすることを検討する必要があります。

●資金繰り表を作成して管理する
資金繰りの管理ができていなければ「資金繰り表」を作成して管理する必要があります。資金残高の状況により週次、隔週、月次等で管理し、問題がある場合には事前に対策を講じます。

 

資金繰り表を活用して改善を行うためには

資金繰り表は会社のお金の流れ「キャッシュフロー」を事前に把握するためのものです。会社のお金には「経常収支」「経常外収支」「財務収支」の3つの収支があり、お金の流れは次の通りとなります。

月初に会社にあった資金+経常収支+経常外収支+財務収支=月末に会社にある資金(来月の月初に会社にある資金)

資金繰り表の作り方の手順は次の通りです。
① 会社にある月初資金残高を入力
② その月の「経常収支」「経常外収支」「財務収支」の収入、支出予想の数値を入力
③ その月の月末資金残高(翌月初資金残高)を確認
④ これらを計画したい将来まで繰り返して作成
⑤ 臨時に発生する特別事項(設備投資、人員増加計画等)の数値を入力
⑥ 資金不足が発生すれば資金調達の計画を立て数値を入力

資金繰り表は必要に応じて、または時の経過により随時見直しや更新が必要です。

資金繰り表はエクセル表などを利用して上記の数字を入力することで作成可能ですが、実際には損益とキャッシュフローの違いが良く理解できていないなど、作成が難しい場合があります。その場合はお気軽に生駒学税理士事務所にご相談ください。

また資金繰り表を作成していない場合でも弊社がお送りしています月次試算表の中の総合推移貸借対照表、現金預金の各月増減を見ることであらかたのキャッシュの動きを推測することは可能です。

 

まとめ

資金繰り表は会社のお金の流れ「キャッシュフロー」を事前に把握するためのものですので、常に運用しながら適切な対策をとるために活用しなければなりません。冒頭に記しましたように中小企業は大半が赤字経営と言われています。そうであるならば資金繰りが楽なはずはありません。月末の支払い時期が近づけば、満足に眠れない時があるかもしれません。そうならないためにも事前に対策を打てるよう心がける必要があるのです。

弊社では月次契約のお客様には毎月、試算表に加えてキャッシュフロー計算書を添付し、損益計算書上の利益と実際の現金預金の有高の違いを分かりやすく説明させて頂いています。利益が出ているのにお金がない、お金が減少する原因がわからないといった資金繰りでお悩みの方は、是非、生駒学税理士事務所へご相談ください。

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